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東京高等裁判所 昭和25年(ネ)1224号 判決

控訴代理人は、「原判決中控訴人敗訴の部分を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。被控訴人は控訴人に対し金七十九万二百八十六円二十五銭及びこれに対する昭和二十五年十一月七日から支払ずみまで年六分の割合の金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに右第三、四項につき仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、「(一)被控訴人と訴外谷豊とのりんご売買契約書(乙第二号証)には、谷は被控訴人からりんご発送の通知を受けたときに代金の半額を送り、「貨車到着と引換に」残額を送る旨がしるされているが、その趣旨は貨車到着とともに谷は貨物を受け取つてよい、しかしそれと引換に代金を送らねばならぬというにあつたと解釈すべきで、(イ)この契約は第三者たる控訴人のためにする契約である。すなわち谷が控訴人から貨物を受け取ることにより、控訴人は荷受人たる被控訴人に対する貨物引渡義務を免れるのであつて、この義務を免れしめることは、民法第五百三十七条にいう「給付を為す」ことにあたるものであり、控訴人は谷に貨物を引き渡すにあたつて債務者たる谷に対し右引渡義務免脱の利益を享受する黙示の意思表示をなしたものである。(ロ)またこの契約は、荷受人たる被控訴人が谷に対し貨物受領代理権を与える趣旨に解することができるのであつて、控訴人は荷受人代理人たる谷に貨物を引き渡したことにより、被控訴人に対する貨物引渡義務を履行したのである。(二)原判決事実摘示中控訴人(被告)の抗弁二の冒頭から第十二行目、「原告はその後右引渡について……」以下十七行(抗弁二の終りまで)を次のように訂正する。被控訴人はその後右引渡をしたことについて、控訴人に対し何ら異議の申出をしなかつた。もつとも三月二十日第一車分を大崎に転送するよう電報で指図はあつたが、荷送人は商機その他の都合で転送の指図をして来ることは往々にあることであつて、第一車は同月十六日すでに引渡をした後であつたから間に合わなかつたことを被控訴人に通知した。このような矢先に本件りんご五百七箱が被控訴人本人を荷受人として同月二十一日に鈴川駅に到着し、同月二十四日谷から前同様の理由で引渡の申出があつた。本件りんごは三月十八日の発送であつたにかかわらず、同月二十日の電報で第一車分四百五十一箱についてのみ転送の指図があり、本件りんごについては何らふれるところがなかつたので、控訴人は、本件りんごはそのまま谷に引き渡して差し支えないものと信じたのである。りんごのような青果物はその性質上着荷後早速荷さばきをするのが荷主一般の例であるのに、谷に引き渡すまで被控訴人から荷受の申出がなかつた。このような事情の下においては、控訴人が本件りんごを谷に引き渡したことに過失はない。(三)原判決事実摘示中控訴人(被告)の抗弁三に次のとおり附加する。控訴人が本件りんごを谷に引き渡さなければ、被控訴人はこれを他に売却して、谷との契約代金以上の利益を収め得たはずであるから、その差額は被控訴人の損害であるとの論があるかも知れぬが、被控訴人は、谷に対し三月中にりんごで二車(約千箱)を一箱代金八百七十五円で売り渡すことを約しているのであるから、りんごの価格が右約定価格より高くなつて、(同年三月末日まではりんごは値上り一方の傾向にあつた)被控訴人が谷に対する約定代金より高く売つて得た利益は、谷が被控訴人の債務不履行によつて被る損害と同額であり、被控訴人は右利益と同額を谷に賠償すべきであるから、被控訴人は右利益を得られなかつたことによつて損害を受けていない。(四)谷豊は、本件りんご五百七箱を控訴人から引渡を受けたことの結果として、その代金として金四十四万三千六百二十五円を被控訴人に送付し、被控訴人はこれを受領した。もし控訴人が谷に本件りんごを引き渡さなかつたとすれば、谷は右金員を被控訴人に支払わなかつたものと考えられるから、被控訴人は本件りんごが谷に引き渡されたことによつて損害を受けたとしても、その結果右金員を利得したのであるから、損益相殺の法理によつて右金員は被控訴人の損害額から差し引かるべきものであり、仮に控訴人に損害賠償義務があるとしても、その額は被控訴人の損害額から右利得額を差し引いた残額である。(五)りんごは損敗しやすい性質上通常着駅到着後二、三日中に受渡をせられるものである。しかして本件りんごは、昭和二十四年三月二十一日に鈴川駅に到着し、同月二十四日に谷に引き渡されているのであるから、被控訴人の損害額はその頃の鈴川におけるりんごの価格を基準として算定さるべきであるところ、その頃の本件りんごの右地における価格は一箱金千二百円であるから、五百七箱で金六十万八千四百円である。それ故被控訴人の損害が仮にあつたとしても、それはこれから被控訴人が谷から受け取つた右金四十四万三千六百二十五円を差し引いた金二十四万四千七百七十五円に過ぎない。(六)被控訴人は原判決の仮執行の宣言に基き昭和二十五年十一月七日控訴人に対してなした強制執行によつて金七十九万二百八十六円二十五銭の給付を受けたから、右金員及びこれに対する同日以降支払ずみまで年六分の割合の損害金の支払を求める。」と述べ、被控訴代理人において、「控訴人の右(一)ないし(五)の主張事実中被控訴人の主張に反する事実は否認する。(六)の主張事実中強制執行によつて控訴人主張の金員の給付を受けたことは認める。」と述べた外、原判決事実摘示の記載と同一であるからここにこれを引用する。

<立証省略>

三、理  由

被控訴人がりんごの販売を業とする商人であること、控訴人が物品運送の取次を業とする会社であること、被控訴人が昭和二十四年三月十八日控訴人の陸中花輪支店柴平営業所において控訴人に対しりんご五百七箱を荷受人被控訴人、到着駅静岡県鈴川駅と定めて運送の取次及び到着地における引渡を委託し、即日右りんご全部を控訴人に引き渡したこと、右りんごが同月二十四日までの間に控訴人の富士支店鈴川営業所に到着したこと、控訴人の富士支店鈴川営業所の控訴人の使用人が荷受人である被控訴人に右貨物を引き渡さず、また被控訴人の荷送人としての指図をまつことなく、同月二十四日右りんご全部を訴外谷豊に引き渡し、谷はこれを他に売却処分したことは、いずれも当事者間に争ないところである。

控訴人は(本件りんごを谷豊に引き渡したことは被控訴人との間の運送取次契約に基く運送品引渡義務を履行したことになると主張し、その理由として、(イ)被控訴人と谷との間に右りんごは谷が荷受し得る合意があつたのであるから、谷に引き渡すことが被控訴人に対する引渡義務の履行となる、(ロ)谷に引き渡すことによつて被控訴人に対する引渡義務を免れる(第三者のためにする契約の主張)、(ハ)谷は被控訴人から本件りんご荷受の権限を与えられた代理人であると主張する。しかし運送取次契約において、荷受人の指定がなされている以上、荷受人の指定を変更し得る者は荷送人、または運送品が到達地に到達した後における荷受人だけであるところ、本件においては、荷送人も荷受人もともに被控訴人であるから、被控訴人またはその代理人において荷受人を谷豊に変更しないかぎり、控訴人は谷豊に本件りんごを引き渡してはならないはずである。しかして谷豊らが被控訴人の代理人であることについては、本件一切の証拠によるも、これを認定し得ないところであり、また控訴人は谷が被控訴人の代理人として荷受人を谷自らに変更したとも主張しておらないのである。いつたい、被控訴人と谷との法律上の関係は、成立に争のない乙第一、第二号証、甲第三ないし第十六号証、原審証人東条欣一、原審並びに当審証人谷豊の各証言及び原審における原告(被控訴人)本人尋問の結果(第一、二回)を綜合すれば被控訴人は、昭和二十二年十一月から谷豊に対してりんごを売り渡したが、谷は、昭和二十三年三月までの間に金三十九万八千五円の売掛代金の支払を延滞し、被控訴人から支払の請求を受けると、被控訴人から買い受けたりんごはくさつていたとの理由で、逆に被控訴人から二万八千円の取り分があると主張したため、被控訴人は谷を検察庁に告訴した結果、昭和二十四年三月七日被控訴人居宅で谷との間に和解が成立し、谷は被控訴人に金二十万円を同年三月末日、四月末日を各期限として、半額ずつを支払うこと、被控訴人は谷にりんご二貨車を一箱金八百七十五円の代金で売り渡すこととし同年三月中に発送すること、谷は被控訴人から発送の通知を受けたときは直ちに各一貨車分の半金を被控訴人あてに送金し、貨車到着と引き換えにその残金を送金することを約したこと、被控訴人は、右約定に基き昭和二十四年三月十一日りんご一貨車四百五十一箱を到着駅鈴川駅、荷受人被控訴人本人と指定して控訴人に運送の取次を委託し、直ちに谷に対し貨物発送の通知をしたが、谷は、右約定に反し、和解による金十万円の送金もなさず、またりんご四百五十一箱の代金半額の送金もなさないので、被控訴人は不安を感じ、同年三月十九日控訴人鈴川営業所に対し電報で右りんご一貨車を東京大崎駅被控訴人あてに転送するよう指図したが、これより先同月十六日右りんご四百五十一箱が鈴川駅に到着すると、これを知つた谷は、控訴人に対し右りんごの件については一切責任をもつて解決することを約束した書面(甲第十六号証)を差し入れた上、右りんご全部の引渡を受けてしまつていたこと、被控訴人が前段認定のように発送したりんご五百七箱は、元来静岡市の三橋芳夫あてに発送するはずのものを被控訴人が誤つて鈴川駅着被控訴人あてに発送したものであり、右りんごが鈴川駅に到着するや、谷は、控訴人に対し、再び事故ある場合は一切責任をもつて解決することを約束した書面(甲第十五号証)を差し入れた上、これが引渡を受けたことを認めることができる。それ故被控訴人と谷豊との契約を控訴人の前記(イ)(ロ)(ハ)の主張のように解釈することは理由のない独断であり、控訴人が本件りんごを谷豊に引き渡すことによつて被控訴人との運送取次契約上の運送品引渡義務を履行したという控訴人の主張は理由がないものというべきである。従つて、控訴人の谷豊に対する本件りんごの引渡と同人のこれが売却処分によつて控訴人の被控訴人に対する運送品引渡義務は履行不能となつたものというべく、運送取扱人たる控訴人は、自己またはその使用人が谷豊に右運送品を引き渡したことにつき過失がなかつたことを証明しないかぎり、被控訴人に対する運送品引渡義務履行不能による損害賠償の責を免れることができないものといわなければならぬ。

よつて進んで、控訴人の谷に対する本件りんごの引渡には過失がないとの主張について検討する。控訴人は、第一車四百五十一箱を谷に引渡したことを被控訴人に通知した後本件りんご五百七箱が第一車と同様の指図で控訴人の鈴川営業所に送られてきたこと、五百七箱の分については第一車の場合のような転送の指図がなかつたこと、またりんごはくさりやすいから到着後速かに引渡をしなければならぬ事情にあつたにかかわらず本件五百七箱の分は昭和二十四年三月二十一日に到着しながら、同月二十四日まで被控訴人から何ら荷受の申出がなかつた等の事情をあげて、控訴人が谷豊にこれを引き渡したことは控訴人の過失ではないと主張しているけれども、以上すべての事実が認められるとしても、控訴人が谷豊を荷受人ないしは荷受人の代理人と信ずべき正当の事由たり得ずまた原審鑑定人畠中律の鑑定の結果によれば、右りんごは着駅のホームに積みおろしたままで四月十日頃までは保存にたえたものと認められるから、谷豊に対する引渡が被控訴人の損害をさけるための緊急の措置ということはできないことはもちろんであり、いかなる点から考えても谷豊は荷受人またはその代理人と信ずべき正当の事由がないのに、同人に本件りんごを引き渡したことにおいて、控訴人に運送取扱人として荷受人を確めるために払うべき注意に欠くるところがあつたものであり、この点において控訴人に過失なしといいがたく、控訴人は被控訴人に対し本件りんご引渡義務を履行しなかつたことによる損害賠償の責を免れ得ない。

次に、控訴人は被控訴人に対する本件りんご引渡義務の不履行があつても、被控訴人にそれに因る損害がなかつたと主張し、その理由として、(イ)被控訴人は谷豊に対し昭和二十四年三月中さらに一貨車のりんごを売り渡す義務を負つていたのであつて、控訴人の谷に対する本件りんごの引渡は被控訴人の谷に対する債務の履行となり、しかも谷は被控訴人に約定りんご代金を支払つた、(ロ)仮りに控訴人のりんご引渡義務不履行がなく、被控訴人が本件りんごを他に谷に対する約定代金より高価に売り渡すことができたとしても、約定代金とそれより高い売渡代金との差額は谷に対する債務不履行に因る損害金として支払わなければならぬものであるから、結局被控訴人に損害はなかつたといつているけれども、前掲乙第一、第二号証及び原審証人東条欣一の証言を綜合すれば、谷豊が被控訴人との和解契約による第一回支払分金十万円を払わなければ、被控訴人は谷にりんご二貨車を売り渡す義務は発生しない趣旨であつたことが認められる。これは、右乙第一号証にも被控訴人は谷が金二十万円を支払うことを条件として別紙契約書(乙第二号証)のりんご二貨車の売買契約を実行すると明記してあることからも明らかであり、右認定に反する原審並びに当審証人谷豊の証言は信用できない。他に右認定を左右するに足る証拠はない。しかして右谷豊の証言によつても、谷が同年三月二十四日本件りんご五百七箱を受け取るまで被控訴人に和解契約による第一回支払分金十万円を支払わなかつたことは明らかであるから、被控訴人は谷に対し本件りんごを引き渡す義務がなかつたものというべく、右義務の存在を前提とする控訴人の主張はすべて理由がない。仮に当時被控訴人が谷に対しりんご一貨車の引渡義務があつたとしても、運送取扱人たる控訴人が荷送人にして荷受人たる被控訴人の指図なくして、自らの裁量で自己の占有中の被控訴人の貨物をもつてその債務を弁済することは運送取扱人の権利に属せざるところであり、控訴人のかくの如き処分は被控訴人の債務の弁済としての効力を有せざるものといわなければならぬ。何となれば、債務の弁済は少くとも債権者において債務の本旨に従う弁済たることの認識の下に弁済を受領するを要するものと解すべきところ、本件においては債権者たる谷豊において運送取扱人たる控訴人が被控訴人を荷受人とした貨物を被控訴人の指図なしに引き渡すものであることを知れるが故である。かくの如き行為は被控訴人の谷豊に対する弁済行為と見ることはできないものであつて、仮に被控訴人に谷に対するりんご引渡義務があるとすれば、右義務は右の控訴人の行為によつて消滅することはないものといわなければならぬ。それ故、この点からするも、控訴人の本件りんごの引渡により被控訴人の債務が消滅したことを前提とする控訴人の前段(イ)(ロ)の主張はともに排斥を免れない。

次に控訴人の損益相殺の主張について案ずるに、成立に争のない甲第九号証及び原審証人谷豊の証言を綜合すれば、谷豊が控訴人から本件りんごを受け取つた後、本件りんごの代金として金四十四万三千六百二十五円を送付し被控訴人が昭和二十四年三月二十八日これを受領したことは明らかであるけれども、損害賠償の範囲が賠償原因(本件においては、運送品引渡義務の不履行)から相当因果関係の範囲において発生した損害に限られると同様に損害から控除すべき利益の範囲も賠償原因から相当因果関係の範囲において発生したものに限るべきものであるところ、谷豊の被控訴人に対する支払が控訴人の債務不履行の相当因果関係の範囲であるといい難い。何となれば、谷の被控訴人に対する支払は、谷が被控訴人に対して有すると主張する売買代金支払義務の履行としてなされたもので、かつ右売買代金支払義務は控訴人の債務不履行とは何らの因果関係のない別個の売買契約から発生したものであるからである。もちろん谷豊が控訴人の右債務不履行に因る損害賠償義務の履行として右金員を支払つたならば、右は控訴人の債務の第三者弁済となり、控訴人の債務が消滅することとなるのであろうが谷が右の趣旨で、右金員を被控訴人に支払つたものでないことは、前掲証拠に照らし明らかなところであるから、控訴人の損害賠償の範囲を定めるのに、谷豊の支払つた右金員を控除することはできないものというべきである。

次に控訴人の右債務不履行に因つて被控訴人の被つた損害の額について案ずるに、控訴人が右運送品を谷豊に引き渡し、谷豊がこれを転売して、控訴人が被控訴人に運送品を引き渡すことが不能となつた時期、すなわち昭和二十四年三月二十七日頃(右履行不能の時期は成立に争のない甲第四号証、原審証人谷豊の証言を綜合して認める。)の運送品到着地(静岡県鈴川町)における本件りんご五百七箱の卸売価格に相当するものと認むべく、原審における原告(被控訴人)本人尋問の結果(第一回)によれば、本件りんごの品種は国光、等級は寿であると認められ、かつ原審における鑑定人畠中律の鑑定の結果によれば、国光、寿級りんごの卸売価格は静岡県吉原ないし鈴川においては、少くとも一箱千四百五十円であつたことを認め得るから、控訴人の本件りんご五百七箱の被控訴人に対する引渡義務不履行に因る損害は、金七十三万五千百五十円であると認めるのが相当である。被控訴人は本件りんごは静岡市において冷蔵し値上りを待つて他に転売する目的であつたと主張するが、右はいわゆる特別の事情と認むべきところ、右特別の事情の存在を認めるに足る証拠が十分でないばかりでなく、控訴人がこれを予見し、または予見することができたであろうことについては何の証拠もないのであるから、右被控訴人主張の事実は本件損害賠償の額を決定するにあたつて、これを考慮することができないものというべきである。また控訴人は谷豊が本件りんごの引渡を受けた時期(昭和二十四年三月二十四日)の鈴川における本件りんごの価格は一箱金千二百円であつたと主張しているけれども、りんごの価格についての控訴人の主張は前掲畠中律鑑定の結果に徴し、採用できない。

よつて控訴人に対し、その被控訴人に対する運送品引渡義務不履行に因る損害賠償として金七十三万五千百五十円及びこれに対する本件訴状が控訴人に送達せられた日の翌日である昭和二十四年七月十二日より支払ずみまで商法所定の年六分の割合の遅延損害金の支払を命じた原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。従つて本案判決を変更することを前提とする仮執行の宣言による控訴人の給付返還の申立もまた許容すべからざることは明らかである。よつて本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十五条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 大江保直 梅原松次郎 猪俣幸一)

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